『ママナラナイ』井上荒野~肉体の変化は止められない~

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今日は、井上荒野さんの『ママナラナイ』という短編集をご紹介したいと思います。

 

『ママナラナイ』井上荒野

本書は10個の物語から成ります。

 

それぞれの物語の主人公は男性だったり女性だったり、子供だったり老人だったりするのですが、すべての作品が「ままならない」心と体をテーマにしています。

 

読者が女性である場合、「ままならない」男性の心と体についての描写部分ではなんだかドキドキしてしまうでしょうし、逆の場合もしかりだと思います。

 

この記事では、個人的に特に面白いと感じた作品をネタバレなしでご紹介したいと思います。

 

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ダイヤモンドウォーター

主人公は小学5年生のルル。まもなく初潮を迎えようとしている。

 

少女から女性へと体は確実に変化していっているのだが、その変化に幼い心はついていかない。

 

不安なルルは母親に相談したいが、母親はアル中で聞く耳を持たない。

 

作品中にこんな一文がある。

 

初音がオリモノとか生理とかの気持ち悪い話をしている間…(以下略)

 

初音というのは、主人公のいちばんの仲良しである。

 

ルルは、保険体育の時間に習う単語を「気持ちが悪い」と感じている。

 

そんなルルは最近、初潮の兆しである「オリモノ」が出るようになった。ルルはその「オリモノ」のことを「ダイヤモンドウォーター」と呼んでいるのだが。。。

 

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続きは作品で確認してみてください。

 

ルルの母親を見ていて、こういう親いそう!とイラッときました。

 

初潮だなんてとうの昔の話ですが、自分が通ってきた道であるだけに、なんだか懐かしさすら感じてしまいました。

 

主人公は信輔(62歳)。

 

妻は10歳年下の曜子。

 

信輔は、曜子とのあいだに子供はいないが、同い年の前妻とのあいだに娘が二人いる。

 

前妻とまだ婚姻関係にあったときに、10歳年下の曜子に猛烈に惹かれアタックした信輔。

 

しかし時が流れ、妻子を捨てるほどに恋い焦がれた曜子ももう52だ。

 

 

 

ある日、信輔と曜子は八ヶ岳にある別荘にやってくる。

 

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息が上がってしまい昔のように坂道を登れなくなった信輔は、自分は重い病気なのではないかと不安になる。

 

そんなとき、前妻の娘からLINEメッセージが届く。

 

それを見た曜子は、当然のごとく面白くない。曜子は信輔にさぐりを入れてくる。

 

信輔には、そういった自分を取り巻く女たちの存在が「檻の柵」のように思えてくる。

 

信輔は曜子から、そして前妻や娘たちから逃げたいと思うようになる。

 

車は別荘地を出た。どこへ行くかは考えていなかった。(中略)適当な町で車を停めよう。ホテルを探して泊まって、翌日のことを考えよう。家を探そう。小さなアパートでいいんだ。(中略)居所がばれない工夫を考えなければならない。手紙は書かない。メールも、もちろんラインもだ。誰とももう、繋がらない。家も別荘も家族もいらない。

 

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信輔はいったいどうなるのでしょう?

 

男性って、こういう逃避願望があるのかしら。

 

いま読んでいる別の小説もそういう話なんです^^;

 

静かな場所

主人公はセレクトショップで働く20代の沙織。

 

沙織には、同じ売場で働くイケメンの彼氏がいる。

 

そして沙織にはとっておきの太客がいる。20代半ばの美人さんだ。

 

その美人さんは、来れば毎回、5,6万は落としていく。

 

仕事も恋も順調に思われていた沙織だが、ある晩、彼氏の部屋で行為中、突然クシャミが止まらなくなる。。。

 

なにかのアレルギーかと疑い検査を受ける沙織。

 

医師から告げられた結果は「猫アレルギー」だった。

 

沙織も彼氏も猫など飼っていないのに。。。

 

 

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こういうこと本当にありそうだわ!!

 

って思えるストーリーです。

 

個人的に沙織の性格が好きでした。

 

毛布

主人公は73歳のマリエ。

 

22のときに出産し、翌年に離婚。

 

それからは生まれ育った家でひとり暮らしをしている。

 

マリエは近くの公園で遊ぶ子どもたちをスケッチする、通称「スケッチおばさん」。

 

地元ではちょっとした有名人であるマリエだが、実は最近、話している相手の声が「厚い毛布の向こうで喋っているかのように」聞き取りにくい。

 

そんなある日、マリエのすぐ近くである事件が起きる。。。

 

 

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73歳。

 

生きていれば、いつかその年齢になるわけで。

 

厚い毛布をかぶっているように相手の声が聞こえづらくなる日がやってくるのかな。。。

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ママナラナイ

主人公は、不動産会社で営業を担当する尚弥(36歳)。

 

尚弥はつい先日、行為の最中に折れてしまった。

 

そんなことは初めてだった。

 

なぜなんだと思い悩む尚弥だったが、ある日”川の家”と呼ばれる高台の家へ立ち退き交渉に行くよう指示される。

 

”川の家”を訪れる尚弥。

 

そこにはある夫婦が暮らしている。

 

夫は定年退職者なので、それくらいの年齢の妻が出てくると決めつけていた尚弥だったが、出てきたのは「四十がらみの、ショートカットに眼鏡をかけた、老けた子供みたいな、地味な女」だった。。。

 

 

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男性が主人公なので、すべての心理描写にうなずくということはありませんでした。

 

でも、「行為の最中で折れた」ということが、男性にとってどれだけ重大な事件であるのかは理解できた気がします😂

 

 

さて”川の家”に住んでいる四十がらみの地味な妻。

 

彼女も「ままならない」なにかをかかえているのでしょうか。

 

それは読んでからのお楽しみということで。

 

あの娘の名前

主人公の鞠子は48歳の主婦。

 

夫と18歳の一人息子との3人暮らしだ。

 

鞠子は最近、更年期障害に苦しんでおり、それが原因でパートを辞めた。

 

 

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しかし鞠子は自分が更年期障害であることを夫にも息子にも告げることができない。

 

夫に告げられない理由は、夫とのあいだの「夫婦生活」が最近途絶えたことと関係があると鞠子は漠然と思っている。

 

つまり、夫婦生活が途絶えたのは自分が更年期になったからだと思いたくはないし、夫にも「自分はもう更年期の女」だと感じさせたくないのだ。

 

そんな鞠子だが、山里にある自宅からひとり息子の拓馬を東京まで車で送っていかなければならなくなる。

 

というのも、拓馬はこの春から東京の大学に進学が決まり、一人暮らしすることになったからだ。

 

本当は夫に運転していってもらいたかったのだが、妻が更年期に苦しんでいることに気付かない夫は、「暇な」妻に運転の役目を任せたのだった。

 

夫に更年期のことを打ち明けられない鞠子は、仕方なくハンドルを握る。

 

慣れない高速道路での運転に緊張する鞠子は、ホットフラッシュの症状がひどくなり、顔じゅう汗みどろになりながら必死に運転する。

 

そんな母親の様子を気にとめることもなく、助手席の拓馬は離れ離れになることになった恋人のことばかりを考えているようだった。

 

なぜそう思ったか?

 

拓馬の携帯にはひっきりなしに(間違いなく恋人からであろう)LINEの通知が届いていたからだ。

 

鞠子は「あの娘」こと拓馬の彼女が嫌いだった。

 

だからだろうか、鞠子は思わず「スマホの電源、切っておけば?」と息子に言ってしまう。。。

 

 

__________

読んでいて思ったのは、「鞠子は、まだ女であることを諦めていない」ということでした。

 

更年期であることを夫に言えず、息子の恋人のことも面白くない。

 

そんな鞠子の気持ちが、手にとるように伝わってきます。

 

息子を必死に東京に送り届けようとする鞠子の心境に、変化は訪れるのでしょうか。

 

『ママナラナイ』おすすめの作品は?

以上、簡単にご紹介してきましたが、個人的に最も好きなのは、最後にご紹介した「あの娘の名前」です。

 

そして次点が「檻」です。

 

井上荒野さんの小説は、とっても読みやすいんです。

 

読みやすくて、感情移入しやすい。

 

 

 

ままならない心と体。

 

生きていく以上は、つきあっていくしかないわけで。

 

 

 

とても共感度の高い短編集だと感じました。

 

オススメします!

 

 

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

 

皆さん、良い一日をお過ごしくださいね😊

 

 

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 👇こちらの記事でも井上荒野さんの作品に触れています。

mabelle.life

 

 

 

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