実家で飼っていた「パピ」という犬が死んでしまいました。
17歳でした。
今朝、実家の母からの電話で知りました。
母は、私と娘が悲しむと思い、ひと月ばかり内緒にしていたとのこと。
死んだのは、先月のことだといいます。
パピはわかっていたのか
シャッターの音
パピは、私の娘が小学校に上がるか上がらないかの頃に、知り合いから譲ってもらった子です。
パピは私の母によく懐いていましたが、「ご主人様」は、今は亡き私の父でした。
私は一度離婚をし、再婚をしているため、一時期は実家でパピと暮らしていました。
毎朝、父はガレージのシャッターをガラガラ~っと開け、パピを散歩へ連れ出していました。
そのシャッターを開ける音がうるさくて目が覚めてしまい、私は父によく文句を言っていたものでした。
その度にハッハと短く笑い、取り合わなかった父。
今思えば、老いた父が愛犬を散歩に連れ出す合図であるその音の、なにがうるさかったのか。「バカな私」と思わずにはいられません…
父の入院
父は認知症を患っており、亡くなる数年前から体調を崩しがちでした。
一昨年の秋に倒れ、そこから入院生活が始まりました。
父は、入院して間もない頃は、私がパピの話をしても理解していましたし、パピの写真を見ると嬉しそうに頬を緩ませていました。
しかし、時間の経過とともに、徐々にパピのことも私たちのことも分からなくなってしまいました。
パピは、突然ご主人様が家からいなくなったことに、きっと気付いていたはずです。
そして悪いことに、ムリをしてお見舞いに通っていた母が腰を悪くしてしまい、なかば寝たきりとなってしまいました。
パピは、そんな母に寄り添い、2020年という日本中が疫病に苦しめられた一年を過ごすことになります。
パピのおかげで
疫病のせいで、実家の母にも入院中の父にも会いに行くことができず、昨年の秋に父は亡くなってしまいました。
葬儀や49日の際にパピに会いました。
いつものように、私たち親子の顔を見るなり、飛んできてベロベロ舐め回してくれたパピ。
パピは、まだ体が思うように動かない母に寄り添い、一生懸命生きてくれているように見えました。
その頃にはすでに、散歩に出るのもしんどそうに見えるほど、年をとっていました。
私はパピに会う度に、「パピ、おばあちゃん(私の母)のことをよろしくね」とお願いしていました。
父亡きあと、実家にいるのは母とパピだけだったからです。
2021年になり、母に電話したところ、母の体の具合はかなりよくなったとのことで、私たちはホッとしていたのでした。
そして、そんな母の様子を見届けるように、パピは先月、この世を去りました。
最期は、なにか病気をしたわけでもなく、まるで眠るように息を引き取ったと母が伝えてくれました。
動物はすごい
パピは、突然ご主人様が家から姿を消し、不思議に思っていたことでしょう。
そして、悲しかったに違いありません。
それでも、体の悪い母に寄り添い、励まし続けてくれました。
本当にすごいワンコでした。
がんばってくれたんだなって、思います。
パピに、ありがとうの言葉を送りたいです。
うちに来てくれて、ありがとう。
そして、父と母と生きてくれて、ありがとう。
またいつか会おうね、パピ。
大切な存在が、そばからいなくなってしまうばかりで、本当に悲しいです。
悲しがるばかりではいけないと、頭ではわかっているのですが、心が追いつきません…
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。