会った時に、こちらが挨拶をしても挨拶を返してこない人っていませんか?
私は若い頃、これでかなり悩みました。
今日は、「挨拶をしない人」が挨拶をしない理由と、「挨拶をしない人」の対処法について書いてみたいと思います。
挨拶をしない人~筆者体験談~
新卒で入った会社でのことです。
毎朝、会社に着いたらタイムカードを押しに行っていました。
そこで、上司や先輩、または同期と顔を合わせるため、朝の挨拶をするのが習慣となっていました。
ふつう、朝はじめて会ったら挨拶しますよね?
しかし、この「ふつう」が当てはまらない人がいたんです!
同期の女性でした。
彼女とは、タイムカードの前でバッタリ鉢合わせすることが本当に多かった。
今思えば、ちょっと時間をずらせばよかったんですよね。
でも、若かった私はそんなことも思いつかず、彼女とタイムカード前で鉢合わせする日々を繰り返していたのです。
私はいつも彼女に「おはよう」と声をかけていました。
しかし、彼女からは「一度も」返事は返ってきませんでした。
最初のうちは、
「聞こえなかったのかな?」、「ボーッとしてたのかな?」
と思っていました。
しかし、何度か続くと、
「嫌われているのかな…」
と思うようになりました。
そして、私は(も?)彼女のことが段々と苦手になっていき、最終的には「嫌なやつ」とまで思うようになってしまったのです。
挨拶をしない理由
私には挨拶をしない人の心理は正直わかりません。
でも、50年近く生きてくると、そういう人の心理を想像することはできます。
次のようなケースが考えられます。
順に説明していきますね。
挨拶することが人の基本的な礼儀だと教わってきていない(親も挨拶をしないタイプ)
ふつう、幼稚園生だってちゃんと挨拶をしますよね?
小学校に上がってからも、「先生、おはようございます!」と皆で声を揃えて挨拶をするよう指導されます。
これはもう、学校教育の責任ではありません。
親の責任です。
子供は親の姿を見て育ちます。
親が他者を敬っていない姿(=挨拶をしない姿)を見て育つと、子供は「それでいいんだ」と思うのではないでしょうか。
挨拶に重きを置いていない
上と少し似ていますが。
挨拶なんて、してもしなくても大して変わらない。
そんな労力を使うのがもったいない。
口を開くのは、業務上必要なやり取りのみでこと足りる。
…そんなところでしょうか。
これはもう、その人の考え方の問題です。
極度の恥ずかしがり屋
挨拶もできないのに、なぜ就職できたのだろう?と思ってしまいそうですが笑
仕事の話なら堂々とできるけれど、半分プライベートのような挨拶は恥ずかしくてできない。
そういう人がいてもおかしくないように思えます。
挨拶をする時には相手の顔を見ますしね。
極度の恥ずかしがり屋だと(特に異性の場合は)難しいということがあるかもしれません。
挨拶をしてきた人のことが嫌い
これはあるかもしれません。
けれど、社会人として、嫌いな人や苦手な人であっても挨拶くらいはするのが礼儀なのではないかと思うのですが。
自分に正直すぎる人は、会社であっても嫌いな人のことは無視するかもしれませんね(私のケースもこれだったりして…笑)
朝が異常に弱い
重度の低血圧で、フラフラ状態で出勤してきている人であれば、挨拶をする身体的・精神的余裕などないかもしれませんね。
あまり見たことはありませんが。
イヤホンで勉強をしている
これは結構あるのではないでしょうか?
イヤホンを使って英語の勉強などをしながら出勤している人は多いと思います。
女性など髪が長い人だとイヤホンを付けていることに気付かないこともしばしば。
集中して勉強していると、挨拶の声には気付かないかもしれません。
まったく悪気のないケースですね。
挨拶をしても返してもらえなかった過去がトラウマになっている
昔はきちんと挨拶をしていたが、返してもらえなかった経験がトラウマとなり、自分から挨拶をするのをやめてしまった。
そういうケースもあると思われます。
ただし、こういうタイプの人は「挨拶を返す」ことはできるはずなので、上に書いた筆者の経験談にはあてはまりません。
挨拶をしない人の対処法
さぁ、ここまでお読みになって、いかがですか?
「私の挨拶をいつもスルーするあの人のケースは、コレ?」など、思いつくものがあったのではないでしょうか。
とはいえ、それはすべてあなたの想像。
真相は、本人に聞かなければ分かりません。
でも、
「なぜあなたは私に挨拶をしないの?」
なんて聞けませんよね?
そこで筆者からの提案です。
挨拶をしない人の対処法は、ただひとつ。
「自分はこれまで通り挨拶をし続け、相手が挨拶をしようがしまいが気にしない」
ということです!
『嫌われる勇気』
そんなことをいっても「相手が挨拶しないことを気にしないなんて無理!」という方もいるかもしれませんね。
しかし、考え方ひとつで挨拶を返してこない相手のことが気にならなくなります。
ここで、数年前にベストセラーとなった『嫌われる勇気』の一部を引用したいと思います。
われわれはみな、対人関係に苦しんでいます。それは(中略)職場での対人関係かもしれません。
わたしの提案は、こうです。まずは「これは誰の課題なのか?」を考えましょう。そして課題の分離をしましょう。どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか、冷静に線引きするのです。
そして、他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。
これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。
ー『嫌われる勇気』(p.150)(下線は本記事筆者による)
『嫌われる勇気』は、「哲人」と「青年」の対話を通して、アドラー心理学をわかりやすく解説してくれている名著。
アドラー心理学は「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言しており、この本には対人関係に悩む人々を救う言葉がたくさん散りばめられています。
さて、上の引用部分はアドラー心理学の専門家である「哲人」の台詞です。
アドラー心理学は、対人関係の悩みを解消するには以下の行動が重要だと説きます。
- まず「誰の課題なのか」を考える。
- 課題の分離をする。
- 他者の課題には介入しない。
今回のテーマである「挨拶をしない人」について考えてみましょう。
- 挨拶をするか、しないか。これは「その人」の課題(=「その人」がやるべきこと)である。
- 課題の分離をする。つまり、「その人」が挨拶をしないのはその人の課題であり、「私」の課題ではない。
- 「私」は「その人」の課題には踏み込まない。
誰の課題かを見分ける方法は、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」ということだと同書は説きます。
例えば、勉強をしない子供と母親の関係を考えてみましょう。
一般的に、母親はつい子供に「勉強しろ」と言ってしまいがちですよね。
しかし、「勉強しない」という選択によって、悪い点数を取る、試験に落ちる等の結末を最終的に引き受けるのは、子供です。
親ではありません。
ですので、勉強するかしないかということは、子供の課題ということになります。
挨拶のケースについても、同様に考えることができます。
「挨拶をしない」という選択によってもたらされる結末、例えば非常識な人だと思われたり、人に嫌われたり、会社での評判が悪くなったり…
その結末を最終的に引き受けるのは、「その人」であって、挨拶をされない「私」ではありませんよね?
ですので、挨拶をするかしないかは「その人」の課題なのです。
アドラー心理学では、他者の課題に介入することが対人関係のトラブルを招くとされています。
「なんで挨拶しないの?」
「挨拶し返さないだなんて、許せない!」
と憤ったり、
「挨拶しないだなんて、信じられなくない?」と周囲の人に「その人」を悪く言う。
このような介入行為が、対人関係のドラブルを招くのです。
この「対人関係のトラブル」には、挨拶されない側の「私」がそれを気に病み、会社に行くのが億劫になったり、業務に集中することができなくなるといった精神状態も含まれます。
つまり、挨拶を返さない人の課題に介入しても、こちらには良いことはひとつもないということです。
いかがでしょうか?
「挨拶をしない人に悩まされている私」について、アドラー心理学を適用すると:
- 挨拶をするかしないかはその人の問題で、その結果どうなろうが、それはその人の問題。私には関係がない。
- 私は自分の心のルールに従ってこれまで通り挨拶を続けるだけ。私が気にかけるべきなのは、私の課題についてのみ。
ということになります。
以上より、筆者が提案する「挨拶をしない人」の対処法:
「自分はこれまで通り挨拶をし続け、相手が挨拶をしようがしまいが気にしない」
は、アドラー心理学に則った説得力のある対処法だといえることがおわかりいただけたかと思います。
まとめ
自分は挨拶をしているのに挨拶されないと嫌な気持ちになりますよね。
でも、この嫌な気持ちを引きずってしまったら、それこそ相手の思うつぼ。
「私は人としての基本的なマナーを実践しているだけ!あなたはそんな基本的なこともできないのね~可哀想だこと~」
くらいに留めて、忘れてしまいましょう!
この意識の変化・行動変容を促すのが、『嫌われる勇気』で解説されているアドラー心理学です。
アドラー心理学を知ることで、HSP*傾向の強い私もだいぶ気持ちがラクになりました(もう3, 4回は読み返しています)。
対話形式で小難しい言葉もあまり出てこないため、非常に読みやすいです。
自分は繊細で、人のちょっとしたひと言や態度が気になってしまう…
そんな方は、本書をぜひ読んでみてください!
気持ちがラクになりますよ。
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(*HSP=Highly Sensitive Person いわゆる「繊細さん」)
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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